「部屋に戻らねーの?」
「寝られなくて。黒田くんは?」
「俺は小池のいびきで」
「小池くん、すごそう」
岡本はクククッと肩を揺らして笑う。
「すごいってもんじゃーねーよ。この世の音とは思えない」
「フフフッ」
「お前には感謝してるよ」
「え?」
「この間言ったのは、売り言葉に買い言葉って感じで言っちまったけど…でも本当は違う。お前があの時俺の手を引っ張ってくれたおかげで。友達ができた」
「らしくないこと言わないでよー!黒田くん!」
岡本が軽くどつく。
「お前だって、おとなしいキャラとか似合わねーから止めろよ」
「うん。やってて気持ち悪かった」
「やっぱりわざとかよ」
「懲らしめたくて。黒田くんのこと」
「うるせーよ」
「黒田くん」
「ん?」
「…なんでもない」
「なんだそれ」
「好きだよ」
「?!?!?!」
へ?!
一瞬、岡本と顔を見合わせる。
「友達として。フッ」
岡本がそう言って笑う。
からかわれた。
「びっくりした?」
「してねー」
「嘘だ!顔焦ってたもん!」
「焦ってねー!」
「ふーん」
なんで。
なんで。
なんで。
焦った。
なんで俺、今。
ドキッとしたんだ?!?!?!?!?!



