「仲直りできたか?」
海に入ると、心配して小池がそう聞いてくる。
「…いや、悪化した」
「何やってんだよ!」
「俺悪くねーよ!謝ろうとしたら、ケンカあいつから吹っかけてきやがったんだよ」
「もー!お前ら2人マジで…」
相沢は岡本がなかなか海に入ってこないので心配して、一旦上がった。
そして、また深刻そうな顔をして海に戻ってくる。
「…岡本、なんて?」
「体調悪いから入らないって」
「まじかー。相当怒ってるぞ?あれ」
と小池。
「部屋に戻るって言ってるの。黒田くん、一緒に行ってあげて?」
相沢にそう言われ、俺は渋々岡本のところへ向かった。
「岡本!部屋戻るのか?だったら…」
「1人で行けるから」
「いつまで皮肉れてんだよ。こっちが話そうとしてんだろ?」
「……」
「悪かったよ」
「私も悪かったから。ごめん」
「あぁ、だから、みんなで一緒にさ」
「…本当に大丈夫だから。疲れたみたいだからちょっと休む」
「岡本?」
「お願いだから、みんなで楽しんできて。早くしないとあっという間に夜になっちゃうよ!」
「え…あぁ」
岡本はササっと別荘のほうへ向かって行った。
おかしい。
ケンカのことでは怒ってない?
でも…
さっきだって…怒ってたし。
なんなんだ?
岡本のことがわからない。
なんなんだよあの顔。
一瞬悲しそうな顔をした岡本の顔を俺は忘れなかった。



