「にしても、広いとこだよな〜。相沢さんの親戚、お金持ちなんだなー」
「あぁ」
部屋につき荷物を置く。
広い部屋にはベッドが2つ用意されていて、大画面のテレビもあり、最高だ。
「キッチンもリビングもいい感じだったな〜」
とベッドでゴロゴロ転がりながらそう言う小池。
「本当、いいとこだな」
「つーかさ」
小池がいきなり起き上がる。
「なんだ」
「お前、今日、岡本と喋ってたか?」
「あ?なにがだよ」
「ずっと、移動中も黙ってただろ?なんか岡本も元気なかったし」
「あぁ、そうか?」
「そーだよ。お前らなんか、あったの?」
「別に」
「嘘だー。今、嘘ついた顔したぞ黒田」
「してねーよ」
「で?何があったのさ」
「だから……」
小池の顔を見る。
もう何もかも知ってるという顔だ。
「あーもー。最初の勉強会の帰り、言い合いになったんだよ」
「なんで」
「そりゃ、あの、色々だよ」
「なんだそれ。色々じゃ分かんねー」
「ったく。かまわないでほしいっていったんだよ。頼んでないのにって」
「ありゃー。それマジで思ってんの?」
「あ?」
思ってるわけない。
あいつのおかげで、味わったことないようなこと味わえたんだから。
だけどなんか、ムカついたから。
「っていうか!お前もお前だろ!相沢に告白したことなんで俺に言わねーんだよ!」
「はぁ?黒田、俺のそういうのに無関心だと思ったから…俺が相沢とどーなろうと関係ないとか思ってるだろ」
「それは…」
「それに振られたしよ」
「…それは関係なくだよ。なんかあったら話すのが、仲間なんじゃねーのかよ」
自分でも恥ずかしすぎることを言った。
誰よりも、こいつらのこと友達だと思い込んでるのは俺なのかしれない。
「なんだよ、それ」
「嘘だよ」
「すげーかっこいいこというじゃん!大翔!」
そう言いながら小池が抱きついてくる。
きもい。
「どけよ!きもい!」
「このこのー!可愛いとこあんじゃねーかよ!」
「やめろって!」
「早く、岡本と仲直りしろよ。協力できることはすっから」
「いいよ別に…」
「そこはサンキュでいいだろ」
「…あぁ…サンキュ」
「あれ?大翔顔赤い?」
「大翔いうな!」
「いいじゃーん!大翔大翔!」
「やめろ!!」
誰かとこうやって戯れ合ったのは何年ぶりだろうか。
友達と思えたのは何年ぶりだろうか。
小池、ありがとう。



