3組の男子も女子も勝ち進んだ。
正直、3組の場合、俺が最後まで残ってしまう。
他のクラスの奴らも、本気で当てようとしないから。
大会に出るつもりじゃなかったが、岡本がうるさいので渋々でた。
しかし。
岡本を見てると、あいつはずっと外野だ。
ん?
あいつが投げるボールは内野にも入らない。
なんだあいつ…
もしかして…
「岡本!!」
飲み物を飲んで休憩してる岡本に声をかける。
「あ!黒田くんすごいね!黒田くんのおかげで3組男子、優勝するよ!」
「…俺の場合はな、みんなが怖がるから。っていうか、それより、お前。なんだよ、あのボール」
「え?」
「方向音痴にもほどがあるだろ」
「…だって、ボールに空気が入ってなかったんだもん」
「うそ。他の奴らはちゃんと打ててたじゃんか」
「……はいはい、どーせ私は運動音痴ですよ!」
皮肉れた。
「うんちだな」
「はぁ???」
怒り出す岡本。
それがちょっと面白かった。
「運動音痴、略してうんち、だろ?」
「…もー!やめてよ!!…だから、運動できる人羨ましいよ」
「女はそんなにできなくていいだろ」
「それ、偏見じゃないの?」
「ちげーよ。別にボール投げられないからダメってことは人生ないだろってこと」
「…なんかちょっと気持ち悪い。黒田くんが励ますなんて」
「…てめぇ、人が優しいといい気になりやがって!今のでさっきのチャラな」
「さっきの?」
「みんなの前でさ…」
「あー、ううん。なんかムカついちゃったから。そーだ、弁当、一緒に食べよう!」
「…いつも食べてるだろ」
「えー、遠足で一緒に食べるのはまたなんか違う!」
「はいはい、遠足大好きうんちさん」
「もー!やめてよー!!!!」
久しぶりに心の底からクスッと笑った。



