そして、幸がなくなって2ヶ月。


俺は無事に卒業式を迎えることができた。


幸からの手紙をいつも持ち歩いて、幸との結婚指輪をネックレスにしている。


俺の中に、幸はいつもいる。





「卒業…しちゃったな〜」

「あっという間だったよね…」


屋上で、相沢と小池でそう話す。


「岡本と一緒に卒業式でたかったな」

「…うん」

と落ち込む2人。


幸がこの場にいたら絶対怒る雰囲気だ。


「おめでたい日に落ち込んでちゃ、幸も嫌だろ」

「あー、岡本、怒りそーー」

「卒業だよ?!なんでそんなにテンション低いの?!ほら、喜ぼう喜ぼう!ってね」
と相沢。


「そうそう」

「絶対、うるせ〜だろなー」

そう言って3人で笑いあう。



「見てー!青空!」
と相沢。


「相沢さん、岡本みたい」
と小池。


また3人で笑い合って、空を見上げる。



やっぱり、幸がいねーと。


綺麗だなんて。

思えない。





ヒューと優しい風が吹く。




風が吹いて瞑っていた目を開く。


「ねぇ…あれ…」
相沢の見てる方を見つめる。


あ…



空を見上げると


そこには


あるはずのない


桜の花びらが一枚、ひらひら舞っていた。



「…岡本だったりして」

「…幸ちゃん…」


「…幸…」