「詩織、良かったな」
お母さんが離れると、司が優しく微笑んでくれた。
「ありがとう司。」
この場をセッティングしてくれた司には、感謝しても仕切れない。
「好きな女の為だ。当たり前だ」
「あらやるじゃない司君。ラブラブで良いわねぇ。ねぇ?道矢。」
「……娘はまだやらん。」
乙女みたいにはしゃぐお母さんと、ツンとそっぽを向いてしまったお父さん。
なんだか普通の家族みたいで、すごく嬉しい。
「せっかくだし皆でご飯食べましょっ。下のレストランに行きましょう」
私の手を引いて玄関に歩くお母さん。
小さい頃憧れていたその行為に、思わず頬が緩む。
「司、お父さんも行こ」
司とお父さんは顔を見合わせて笑いあっていた。
4人でレストランに行って食事を取りながら、17年分の話をお母さんとお父さんとした。
笑いが絶えなくて、これが本当の家族なんだと実感した。
「詩織、今日は泊まっていけ。」
「えっ?」
「家族でゆっくり過ごせ。明日迎えに行く。」
「ありがとう司」
本当に何から何まで司にお世話されっぱなしだ。
その日お母さんとお風呂に入って、ベットで家族3人で川の字で寝た。