「道矢の言う通り、私たちは心から貴方を愛しているわ。」
「…………」
私は不安になって司の顔を見る。
「最後まで聞いてやれ」
「うん……」
そう言われ、私はまたお母さんの顔を見る。
「貴方を授かって、道矢も私も本当に嬉しかったわ。そして何事もなく貴方を産めて幸せだったわ。」
お母さんは、ニコリと微笑んで私を見る。
お父さんも、閉じていた目を開けた。
「詩織が1歳半になるまで、私は育休をとって育児に専念してたわ。道矢もちゃんと家に帰ってお世話をしてくれた。だけどね、私も社長をしてるから会社を野放しに出来ないの。だから仕事を復帰したわ。」
「ベビーシッターを頼んで、私達の代わりに貴方を育ててもらった。貴方が2歳くらいの時かしら。ちょうど私の方も道矢の方も会社が忙しい時期に入ってしまってね?会社と取引先を行き来する毎日で家に帰れなくなってしまったの。その間にも貴方はスクスクと成長したわ。貴方が喋れるようになって、物心もつきはじめて。それでやっと仕事も落ち着いた頃、貴方は覚えてないだろうけど道矢と家に久しぶりに帰ってきたの。」
「えっ……」
お父さんとお母さんは、私を見捨てたわけじゃなかった……?
ちゃんと家に帰ってきてた……?
じゃあ、私の勘違い……?
色々な疑問が頭をグルグルし出す。
その間にもお母さんは語る。


