「なんの事だね」
お父さんが眉間に皺を寄せる。
「詩織に会いたくて、喋りたかったならそうすれば良いじゃないですか。なんでわざわざ嫌われようとするんですか。」
司の言っている事が分からなかった。
お母さんも険しい顔をしている。
「詩織は、親子なのに一度しか会った事ない貴方達に愛されてないと思っています。」
「そうなのか、詩織」
お父さんに話を振られると思ってなくて、思わずビクッとする。
「あ、はい……」
それを見たお父さんとお母さんが、傷ついてるなんて夢にも思わなかった。
「私たちはちゃんとお前の事を愛している。変な誤解するな。」
刺々しく言い放ったお父さん。
無表情で言われても、そんな言葉信じられない。
「お腹を痛めて産んだ子を、嫌うはずないわ。」
お母さんは、さっきより少し表情が柔らかくなった気がした。
でも、お父さんへの恐怖心は抜けない。


