望むモノ


「詩織様と林堂様はこちらへお座り下さい。」





涼のお父さんに施され、お父さんとお母さんの目の前のソファに座る。




「詩織、大丈夫だ。」



もう何度も言われたこのセリフ。



司を信じて、私は口を開いた。




「……久しぶりです。お父さん、お母さん。」





声は震えていたと思う。




それでも、どうにか喋る事が出来た。





「あぁ。」




「久しぶりね。」




お父さんとお母さんは表情一つ動かさず、無表情のまま返事を返した。





そこから会話はなく、やっぱり愛されてないのだと実感する。





それからどれくらい経っただろうか




5分、10分、30分、すごい長く感じた。




そして、沈黙を破ったのは




「不器用にも程がありますよ。天草さん」




司だった。