死んだわけでも、捨てられたわけでもないのに。
放任、なんて言ったら聞こえが良すぎる。
軽く捨てられたも同然だ。
愛されていないからこそ、会うのが怖い。
何を言われるか身構えてしまう。
10歳の誕生日の時もそうだった。
親が口を開くとき、何を言われるのか不安で身構えてしまった。
「じゃあ会いに行くか」
「え?」
何を言っているの?司。
会うなんて無理よ。
私の親は世界各国を回って仕事している。
今日本に居るかすら分からない。
「アポ取った。今から行くぞ」
「え、ちょ、何言ってるの!?司」
アポ取るって何者よ。