望むモノ


あともう一つ。



10歳の誕生日のあの日から、毎年誕生日の一ヶ月前に涼のお父さんから電話をもらうようになった。




ー「詩織ちゃん。今年も会いに行けそうなんだ。」




こんな内容。



だから私は毎年期待して、楽しみにしている。




だけど10歳の誕生日以来、お父さんとお母さんが来た事は一度もない。




それが悲しくて毎年バカみたいに泣く。




それを隣で慰めてくれるのが涼だった。



涼と身体の関係になったのは中1。



それから毎年誕生日のこの時期に身体を重ねている。





高校に上がっても、私の噂は変わらなかった。




ビッチだのヤリマンだの、そんな悪口を言われる毎日。




お前たちだって人の事言えないだろって言ってやりたいよね。




それに、こう見えても私は学年主席だ。




お父さんとお母さんに、私の事を見てもらいたくて必死で勉強した。




中学の時には既に高校卒業レベルの勉強は終わっている。




なのに、偏差値に合わないこの高校を選んだのはただ単純に家から近いから。




それだけだ。