ずっと会いたかった両親が目の前に居るのに、嬉しいと思わないのが自分でも不思議だった。
「誕生日おめでとう。」
「おめでとう詩織」
「……ありがとうございます」
どこか他人行儀な私たち。
そりゃそうだ。
だって私は両親を見たのが初めてなのだから。
"親"という感覚より、"来客"という扱いに近い。
それから食堂に行って、家族3人で食事をした。
特になにを話すわけでもなく、ただ無言で食事をした。
一応親だからと思っていつも以上に気を使い、食事をした。
これだったらいつもみたいに一人で食事の方がマシだ。


