その度に田中さんが慰めてくれる。
「田中を母親だと思ってください。」
泣く度に田中さんはそう言った。
「うん……」
だから私は、田中さんを本当の母親だと思い生きてきた。
小学生に上がると、新たな問題が発生した。
昔から、容姿については褒められてきた。
「詩織ちゃんは可愛いね」
「お人形みたい」
「羨ましいなぁ」
友達にも、友達の親にも、そう言われ生きてきた。
だから、自分の容姿は自覚している。
それを誇りに思うし、恵まれた容姿で産んでくれた母親にも感謝している。
「詩織ちゃん」
「どうしたの?」
事の始まりは、小学校四年生の時だった。
「マキね、タカシ君が好きなの。応援してくれる?」
「もちろん!」
同じクラスになって友達になった子に、恋愛相談をされた。
私はもちろん応援した。


