詩織side
私の誕生日は、11月3日。
その日は毎年、何があっても空けている。
だってその日はーーーーーーーー
もう何年も会っていない両親に会えるかもしれない日だから。
毎年、私の誕生日の一ヶ月前に涼のお父さんから連絡が来る。
内容は、お父さんとお母さんが誕生日に家に帰って来れるという内容だ。
だから私は、毎年その連絡を受けてから自分磨きをして、最高のモチベーションで誕生日まで過ごす。
エステに美容院、ジムにヨガにダイエット。
あらゆる事をして自分の身体を最高の状態にする。
そして誕生日の3日前。
ー「もしもし詩織ちゃん?」
「はい」
ー「本当に申し訳ないけど、今年の誕生日も予定が入っちゃったんだ。ごめんね」
「……分かりました。ありがとうございます」
毎年こうして、涼のお父さんから断りの電話が掛かってくる。