「ならなんで最近機嫌良いんだよ」
「私が機嫌良いの悪い?」
「そういう事じゃねぇけど」
「じゃあ良いじゃない」
「誕生日の日、予定空けとけよ」
「もう埋まってるから無理よ。前日とかなら良いけど」
「なんの予定だ」
「………家族で食事する予定なのよ」
ここに来て初めて表情を変えた詩織ちゃん。
遠くを見つめ、どこか哀愁漂う表情をしている。
その意味が分からなかったけど、家族なら良いかと流した俺たち。
これが詩織ちゃんの過去と関係あるなんて夢にも思わなかった。
「じゃあ誕生日の前日、空けとけ。」
「わかったわ」


