そう思ってあいつに近づいてみた。
「スースー」
可愛い寝顔で寝ているあいつ。
起こしちゃ悪いと思って、俺は着ていたブレザーを脱いであいつにそっと掛けた。
こんなに近くであいつを見るのは初めてで、胸がドキドキと音をたてている。
ブレザーには刺繍で名前が彫ってあるから、その内返しに来るだろう。
それがきっかけになれば良いと言う願いも込めて俺は仲間の待っている屋上に戻った。
案の定、暫くして屋上に来たあいつ。
「林堂司、居る?」
初めて聞いたあいつの声は、高く透き通った綺麗な声だった。
「俺だ。」
あいつからブレザーを受け取ると、あいつの香水の匂いが微かにした。
思わず頬が緩む。
「もう少しここに居ろ」
帰ろうとしているあいつを引き止めるには、これが精一杯だった。
そして猛アプローチの結果、どうにかあいつを姫にする事が出来た。
空龍の姫として、狙われているのを理由にどんどん俺から離れられなくなればいい。


