司side
あいつを初めて見たのは、入学式の時だった。
「あたたかな春が訪れると共に、私たちはーーーーーーーー」
成績トップで桜陽高校に入学したあいつは、新入生代表の挨拶をしていた。
「あの子可愛くね?」
「うっひょー上玉じゃん」
「彼女にしてぇ」
「頭も良くて顔も良いとか最高だろ」
挨拶をつらつらと並べているあいつを見て、俺の周りに座ってた男共はあいつをネタに仲を深めている。
パチパチパチパチ
たくさんの拍手で終わったあいつの挨拶。
茶色く染めたフワフワの髪の毛に、大きくて丸いぱっちりした瞳。
長い睫毛に血色の良いピンクの唇。
スラリと伸びた長い手足にほどよく着こなされた制服。
あいつに目が行かない奴は居なかった。


