望むモノ


「詩織様なら、数日前にお友達の家に泊まると言って只今不在です。」





「友達の家…?」




俺たちが知る限り、詩織ちゃんにそんな親密な友達なんて居ないはずだ。





「そ、うですか。分かりました。ありがとうございます。」




俺たちは田中さんに頭を下げて車に戻った。




「しおりん、友達居ない筈だよね?」




「確かそうだよな」




だって、女友達なんて作るだけ無駄だと豪語している彼女だ。




友達なんて、思い当たるのは横島以外居ない。




「横島の家行くぞ」




「了解」




横島の家に行き、インターフォンで横島を呼ぶ。




ー「はい」



「戸塚です。」



ー「どうしたんだ?」




「詩織ちゃんそっちに居る?」




ー「詩織?居ないけど……」




「……………」




どういう事だ?