「……いいよ」 と、気付けばそう口にしていた。 一瞬でも悩んだかと聞かれれば、私はきっとイエスと言えない。 既に毒牙にはまっているなんて知らず。 この、甘い彼に誘われるように、私は…… 「今日から僕らは幼なじみ」 「…うん」 惹かれてしまった。 蜘蛛の糸に導かれ、引き寄せられる蝶のように。 「僕は、榎本 純。よろしくね」 純くんとの始まりは、嘘で固められた上辺だけの…… そう、偽りの関係だった。