怖くて恐ろしい。


辛くて苦しい。会いたくない。


それなのに……




悲しいほど儚くて、切なくて。


その佇まいは、慈しみ、守ってあげたくなるほどに繊細で。


本当は、とてもとても優しい人だと知っている。


私は彼を、知っている。


ずっと、ずうっと前から。


それこそ、言葉を覚えたての舌足らずな、そんな頃から。




――『ぼく……と、いっ…しょに――あ、……ぼ』



びりびりと頭の中で響く雑音混じりの言葉。


触れてもいいと、構わないと差し出された、誰かも知れない温もり。


握り返した小さな手。


ああ、覚えがないのになんで、どうして……



こんなにも、懐かしいんだろう。


近付きたいと思った。


怖くても恐ろしくても、それでもいい。



私は彼に…――。