「渚くん……」
半歩先を歩く渚くんのを見上げて、繋いだ手をギュッと握る。
「……ほのかちゃん?」
渚くんはそんなあたしに気づいて、足を止めた。
「薄々、気づいてると……思うんだけど…」
あたし達は、道のど真ん中で、2人向き合っていた。
渚くんは何も聞かないけど、なにか、薄々気づいているんじゃないかなと思う。
「あたし……」
「うん、ゆっくりで大丈夫だよ」
渚くんは、何かを話そうとするあたしの頭を優しく撫でた。
あたしは、また泣きそうになって、唇を噛む。
だめ、ちゃんと話さなきゃ……。
泣いてたら、また渚くんに心配かけちゃう。
「大丈夫、大丈夫だよ…」
渚くんは、あたしの唇を親指でそっと撫でた。
それに、あたしはスッと体の緊張が解ける。


