2人、床に座り込みながら涙を流す。
その涙が、渚くんの言葉1つ1つが、嘘ではなく、真実だと教えてくれる。
「今日は、もう帰ろう。送っていくから」
渚くんは、最後にもう一度あたしをギュッと抱き締めて、立ち上がらせてくれる。
「ほのかちゃんはここにいて、俺がみんなに声かけとく」
「でも……」
何もかも渚くんにお世話になってしまってる気がして、あたしは渚くんの服の袖を引いた。
「ほのかちゃん、目真っ赤だからね」
「あっ……」
そうか、あたしここでたくさん泣いたから…。
じゃあ渚くんは、それを気遣って…。
「ははっ、俺が見せたくないだけだよ」
渚くんは安心させるようにあたしに笑いかけて、席へと戻っていく渚くんの背中を見送る。
あたしは、いつのまにか体の震えが治まっている事に気づいた。
渚くんのおかげだ……。
1人だったら、何日かは引きずって震えも治まらないし、薬に頼ってた。
渚くん………ありがとう…。
目を閉じて、そっと心の中でお礼を言う。
怖くてたまらなかったはずなのに、今は心がすごく落ち着いていた。


