「でも、生きてるのが辛くて、苦しいよっ……」
なのに、生きろってみんなが言う。
絶対、生きているほうが苦しいのに、どうして…あたしは今、ここにいるの?
「っ……ほのかちゃんっ……」
渚くんは、泣いているように見えた。
抱き締められているから、顔は見えない。
でも、肩が震えてる。
「でも……何度も死のうとしたのに、死ねない。やっぱり、死ぬのが怖いんだね……」
死にたいと願ってるのに、死ぬのが怖い。
これって、すごく矛盾してる。
あたしの手首にある、リストカットの跡は未だに消えていない。
死ねない代わりに、自分を傷つけて心を保ってた。
「俺、ほのかちゃんをこんなに苦しめた男の事、許せない…」
怒りに声を震わせる渚くんに、あたしは首を傾げる。
「……渚くんには、関係な…」
「関係ある!!」
「っ!!」
渚くんはあたしの言葉を遮って、叫んだ。
そして、渚くんはあたしの両頬を両手で包み込んだ。


