「な、なんだよあんた……頭、オカシイんじゃねーの?」
あの男は、そう言い捨てて、その場から離れていく。
渚くんはずっとあたしを抱き締めていてくれる。
「はぁっ……ううっ……ごめんなさいっ……」
出口が見えない。
いつまで、この病気と付き合っていくの?
それでも、学校へは行かなきゃいけないし、普通の高校生でいたいのにっ……。
「もう、大丈夫だよ……ほのかちゃんは1人じゃない」
優しく、抱き締められながら後頭部を撫でられる。
それに、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
「もう………消えちゃいたい……」
そうしたら、あたしは楽になれる。
あの男の事も、お母さんの事も忘れられる…。
「ほのかちゃんが消えたら、俺泣くよ?」
あたしを抱き締める渚くんの腕に、力が入る。
まるで、消えないように、離さないようにと……。


