そして、あたしは小学3年生から中学1年生までの4年間、その虐待に耐え続けた。


そう、何も感じない、何も考えないよう、檻の中に閉じ籠り、ただされるがままの檻。


そして、中学1年生の時、入院していた祖母の賀上 美代(かがみ みよ)おばあちゃんが退院し、この状況を知って、男の事を警察に通報した。



男は、あたし達に接触する事を禁止され、そう契約書を交わした。


男が去り際に言った。


『忘れるなよ、お前なんていつでも殺せる』


また、あの三日月のように細くつり上がった目が、あたしを見て笑った。



どこにいても逃げられない…そう思った。


そして、それからあたしは、虐待のニュースを見る度、大きな音を聞く度、あの男に似た人間を見る度にあの男にされた事がフラッシュバックするようになった。


呼吸ができなくなったり、悪夢にうなされたり、食事が食べらなくて吐いた事もあった。


お母さんは、糸が切れた人形のように壊れ、精神科病院に入院し、あたしは…。