「もし、知ったら……きっと渚くんは、あたしを軽蔑する」
これは、たぶん確実に。
お母さんを苦しめたあたしの事…受け入れてくれる人なんて、いないんだから…。
「それでも、ついてくる……?」
あたしは、ズルい。
選択を、渚くんに投げたんだ。
渚くんがあたしについてきたら、渚くんはあたしを嫌うから、このままあたしも深入りせずに済む。
渚くんがこれで着いてこなかったら、あたしと渚くんは、今まで通り、当たり障りのないうわべの関係でいるだけ。
どちらも選べなかったから、渚くんに選ばせた。
「ほのかちゃん、俺は……」
呟く渚くんより先に、あたしはゆっくりと歩き出した。


