必死に、みんなと同じになろうとしてる。
「あたしは……渚くんが傍にいたいと思えるような人間じゃないよ」
泣きそうで声が勝手に震え出す。
それを、必死に我慢しようと、唇を噛んだ。
「そっか……だからあの時、唇ケガしてたんだね」
渚くんはそう言って、ゆっくりと、でも確実にあたしとの距離を詰めてくる。
あたしは、1歩後ずさった。
「自分を傷つけないで、ほのかちゃん」
なら、あたしはどこにこの葛藤をぶつければいい?
自分が傷つくなら、別になんて事ないんだよ。
「優しくしてもらう資格ないっ……」
あたしは泣きながら、また1歩後ずさる。
そして、大きく息を吸って、はいた。
なら、見せよう。
渚くんは、どこからその自信がくるのか分からないくらい、あたしを信じてる。
「なら、教えてあげる……」
それで、嫌いになればいい。
離れていけばいい、そうすれば、渚くんを信じたいと思ってしまう自分にも、諦めがつく。
「え……?」
「あたしが、どういう人間なのかを」
あたしは、渚くんを見て、すぐに病院の方へと歩き出す。
ついて行って良いのかと不安げにこちらを見て立ち止まっている渚くんを振り返る。


