「おー、渚がキレたぞー」
「あーあ、渚がキレた」
応援に来た琢磨くんと優真くんが面白そうに渚くんを見る。
「待って、それよりも何なのこのドッチボール!ほのかがケガしたらどうするのよ!」
梨子の悲鳴がここまで聞こえてくる。
「渚ー!!相手叩き潰して、ほのかを守ってよ!!」
「……梨子?」
そんな大声で…。
梨子の言葉に苦笑いを浮かべていると、渚くんは突然、親指を立てて、梨子に見せた。
「任せて、3分で終わらせる」
え……?
まさか、渚くんがそんな事を言うなんて思わなかった。
そんな、熱い人だったっけ?
「じゃあ、遠慮しないから……っ!!」
ービュォォォオッ!!
渚くんの投げたボールが、次々と男子生徒達を倒していく。
女子は、軽く当ててサイドへと送っているあたりが紳士的だ。
そうして見事、渚くんの圧勝で、うちのクラスはドッチボールの部門で優勝した。
テニスでも、魚住兄弟のダブルスが優勝、バレーボールでは、梨子の活躍もあり、準優勝だった。


