ービュォォォオッ!!
ドッチボール開始3分。
運動が苦手な人オススメのはずのドッチボールは、命をかけた死闘を繰り広げている。
「っ……」
あたしは、両手を握り、ギュッと目を瞑る。
怖いっ、どうしてこんな事に…。
全然、話が違うよ…。
「ほのかちゃん!目瞑ってたら危ないよ!」
相手にボールを当てた渚くんが、こっちに走ってくる。
「でも、怖い……」
あんな、すごい早さのボールに当たったら、絶対痛い。
「あそこ狙えー!!」
「おう!!」
ボールを持った男子生徒が、あたしに狙をさだめて、勢いよくボールを投げる。
「ほのかちゃん!!」
渚くんとの距離はまだある、どうしよう!!
ービュォォォオッ!!
「ううっ……」
あたしはまた、ギュッと目を瞑る。
すると、スパァァンッという大きな音が鳴り響いた。
そして、いつまでも来ない痛みに、恐る恐る目を見開く。


