5月、ついに球技大会の日がやってきた。
あたしは紺色の大きいジャージに、身を包み、梨子の元へと歩み寄る。
更衣室で、梨子は長い髪をポニーテールにしている所だった。
「ごめん、ちょっと待ってて!」
「ゆっくりで大丈夫」
慌てだす梨子に、あたしは笑みを向けた。
「ほのか、ふふっ!ジャージに着られちゃってるね」
手が隠れてしまうジャージを、あたしは再度見下ろす。
Mサイズしゃなくて、Sサイズでも良かったかな。
「うん、Sサイズにすれば良かった」
そんな事を話ながら、あたし達は更衣室を出て、教室へと戻る。
「おー、来た来た!ほのかちゃん!梨子ー!」
廊下のど真ん中で手を上げて叫ぶ琢磨くん。
「ったく!あいつ本当にうるさい!」
梨子はそう言ってズカズカと琢磨くんに歩みより、パシンッと頭を叩いた。
「いってぇー!!」
「静かにしなさいよ!」
頭を抱える琢磨くんと、腰に手を当てて起こる梨子。
なんだか、2人とも楽しそう…。
梨子、あんな風に笑うなんて…もしかして、梨子は琢磨くんが好きなのかもしれない。


