あたしは確かにここにいるはずなのに…。
なんで……?
あたしだけが、みんなとは違う感覚。
「すみませーん、それではこれから、球技大会の種目決めをしまーす!」
クラス委員が前に出て、クラス決めを始める。
あたし達は自然と自分の席へと戻った。
「運動苦手な人は、ドッチボールがオススメです」
「ほのか、どうする?」
クラス委員の言葉に、梨子があたしを振り返った。
運動苦手だし、バレーボールやテニスは、素人が簡単に出来る行事じゃないから…。
「あたしは…ドッチボールかな」
「なら、あたしも……」
そう言いかける梨子に、あたしは首を横に振った。
梨子、またあたしの為に合わせようとしてる。
心配してくれるのは嬉しいけど、それで梨子を苦しめるのは、嫌。
「梨子は、好きなものをやって?」
「え?」
「あたしの為…とかじゃなくて、好きなもの」
あたしも、辛いよ梨子。
梨子、中学の時はバレーボールやってたのに、高校では剣道をやりはじめた。
あたしの過去を知って、守りたいんだって言ってくれた事を、今でも覚えてる。


