手を掴まれたまま、あたしは不思議な気持ちで渚くんを見つめる。
「渚くんになら、触れても大丈夫って事…?」
「え?」
「信じられない……」
あたしにとっては、渚くんは何もかもイレギュラー。
まるで、あたしがあたしを閉じ込める為に築いた檻を、壊されてしまいそう。
「ほのかちゃんは…桜みたいだ」
渚くんは、切なそうにあたしを見つめていた。
「え……?」
渚くんの言葉に、あたしは首を傾げる。
廊下のど真ん中、渡り廊下は窓ガラスで覆われている。
この場所は、太陽の光がいっぱい差し込み、あたしと渚くんを光で包んでいた。


