「ほのかちゃん……?」
渚くんは、あたしの顔を見て、驚きに目を見開く。
「ありがとう…」
不思議と満たされるこの気持ちが、涙になって流れる。
あたしは、そのハンカチで目を覆った。
あたしは、今どんな風に渚くんに映ってるんだろう。
きっと、急に泣いたりして、迷惑に決まってる。
「今日……1限目は、休むね」
「ほのかちゃん!」
あたしはそう言って立ち上がり、そそくさと廊下へと出た。
すると、すぐにパタパタと足音が後ろから追いかけてくる。
「ほのかちゃん、待って!」
渚くんが追いかけてきてくれているのに気づいたけど、足は止めなかった。
ーグイッ
「っ!!」
あたしは後ろから、渚くんに掴まれる。
てっきり、体が拒絶すると思った。
それなのに、一向にあの沸き上がるような恐怖も、震えもない。
あれ、あたしどうして……。


