「ほのかちゃん!!」


それをとっさに、渚くんが抱きとめてくれた。

あたしは、渚くんに体を預けながら、あたしは夕暮れの空を見上げた。


「終わった……のかな……」

「頑張ったね、ほのかちゃん……」


渚くんは、あたしを後ろから抱き締めて、そっと頭を撫でてくれる。


「あぁ……もう、もう……」


あの男の影に、過去に、愛されない孤独に怯えなくていいんだ。

あたしは……生きるために息をするんじゃない。

幸せを探して、見つけて、幸せになる為に生きるんだ。

心に、築き上げた檻はもう無い。

その外の世界を、もう怖いとは思わないだろう。


「自由だ……」


あたしは、夕空を見上げて、そう言った。

途端に、じわりと涙が溢れて、夕空が歪んで見える。

ーツウゥゥ

伝う涙に、あたしは微笑む。

こんなに、空は綺麗だっただろうか。

こんなに、風は優しく吹いていただろうか。