「可哀想な人……」
「もう二度と、喋れないようにしてやる!!」
藤枝 孝は、怒りのままにあたしに飛びかかろうとする。
それを、なぜか静かな気持ちで見つめていた。
あたしには、もう怖いものなんて無い。
「お前達も俺と同じだろう!!」
叫びながら襲いかかろうと走ってくる藤枝 孝が、スローモーションのようにゆっくりに見える。
……あたしは、あなたとは違う。
家族がまた、あたしを見つめてくれる。
大切な友達が傍にいて支えてくれる。
好きな人が、あたしを好きでいてくれる。
「お前が死ねぇーー!!」
キラリと、銀色に光るモノが視界の端に映る。
恐怖は、無かった。
男を見れば、あたしにカッターを振りかざしている姿が見える。


