「部外者に何が分かる!!ガキが!!」
「部外者はお前だろ!!ほのかちゃんをそれ以上傷つけるなよ!!」
渚くんは、あたしを抱き締める手に力を込める。
それが、どんなものからも守ろうとしてくれているようで、泣きたくなるくらい嬉しい。
いつから、この腕を、手を、声を……この人を、自分の居場所だと思うようになったんだろう。
「帰るぞ、ほのか、母親も一緒にな!!」
帰る…帰るって誰と…?
あたしの帰る場所は、こんな男の所じゃない。
あたしを大切に思ってくれる人達……それから、あたしが大切にしたいと思う人達の所だ。
「あたしは……っ」
震える声と体。
藤枝 孝という男は、あたしの世界で一番怖い存在。
忘れられない、暗い過去の象徴。
「ほのかちゃん…大丈夫」
渚くんがそっとあたしの背を撫でる。
そうだ、あたしには渚くんがいる。
だから……だから、もう踏み出さなきゃ。


