「っ……どうして、ここに…?」
あたしは、1歩後ずさる。
まさか、またお母さんの病室に……!!
「やめてっ……お母さんに、何かしたの!?」
どうしよう、どうしよう!!
バクバクと鳴り出す心臓を服の上からおさえる。
「お前の母親……なんで正気に戻ってる?お前も……あの死んだ目はどうした!?」
「なに……言ってるの……?」
藤枝 孝の言ってる意味が分からない……ううん、知りたくない。
理不尽すぎる、ただ、あたしやお母さんを傷つけたいだけ。
それだけで、色んな人を傷つける…。
怒りで、ガタガタと体が震え出す。
それに気づいた渚くんは、あたしを抱き寄せ、藤枝 孝から見えないよう、男に背を向けるような形で前に立った。
「そもそも、あんたが壊せるような繋がりじゃなかったんだ、ほのかちゃんとお母さんは」
渚くんは藤枝 孝を振り返り、そう言った。
その言葉に、男の表情がさらに険しくなる。


