「ほのか……ちゃん、なんで…」
あたしの登場に驚いているのか、それとも会いたくないと思われているのか、渚くんは動揺していた。
あたしは、恐る恐る渚くんに歩み寄る。
「渚くん………あのっ……」
あたしは、胸の前で両手をギュッと握りしめた。
そして、真っ直ぐに渚くんを見つめる。
「お母さんの事、本当にありがとう……っ」
「そっか……そっか!!本当に、良かった……」
渚くんは、少し泣きそうに、それでいて嬉しそうに笑う。
あぁ、この人の優しさに、あたしは何度救われただろう。
「渚くん……渚くん、あなたが好きです…」
「っ!!」
渚くんは、あたしの突然の告白に、目を見開く。
あたしは、自然と想いを口にしていた。
もう、ずっと分かってた……どんなに傷つけると思って遠ざけても、忘れられるはずがない。
あたしが、この人を求めてる……。
「ほのかちゃん、俺の事……好きでいてくれるなら、お願い、もう俺を離さないで」
渚くんは、ゆっくりと手を伸ばし、胸に引き寄せる。
その手は、震えていた。


