「渚は、病院の屋上にいるよ」
梨子はあたしが何を言いたいのかわかったのか、渚くんの居場所を教えてくれた。
「ありがとう、梨子!」
あたしは、久しぶりに全力疾走する。
こんなに体に力が入るなんて、思ってもみなかった。
エレベーターにのり、屋上のボタンを押す。
「会いたい……会いたい、渚くんに…」
エレベーターに乗りながら、あたしは胸の前でギュッと手を握りしめる。
ーチンッ
「っ!!」
エレベーターの扉が開いた瞬間、あたしは駆け出した。
そして、開いていた屋上のドアをすり抜けると、夕暮れに照らされた、渚くんの背中が見えた。
「渚くんっ……!!」
「えっ……?」
あたしは、その背中に目一杯叫んだ。
渚くんは、勢いよくあたしを振り返る。


