「分かってた……分かってたよ、お母さん」
「ほのか……」
泣いているお母さんに、1歩ずつ近づく。
お母さんは、あたしを怯えたように見つめた。
それに怯んであたしは立ち止まる。
「お母さんが、たくさん苦しんでたのを知ってる。だから、あたしはお母さんが楽になるなら……殺されてもいいって言ったの…」
「あなたに、そこまで思わせてしまうなんて、親失格よっ……」
お母さんは、絶望したようにあたしを見つめる。
あたしはそっと歩みより、涙で濡れた頬に、手を伸ばす。
「あたしは……本当は、楽になりたいって気持ちもあった。でも、自分で死ぬのは怖くて…誰かに、殺してほしかったのかもしれない」
そして、お母さんの涙を手で拭った。
すると、お母さんと間近で目が合う。
「お母さん……あたし達、もう十分苦しんだよ…」
「え……?」
お母さんは、あたしを不安げに見つめる。
そんなお母さんに、あたしはそっと微笑んだ。
「また、一緒に……生きていこう、お母さん」
お願い、届いて。
お母さん、もう一度あたしを見て。
また、家族としてお母さんと一緒に生きていきたいよ…。


