「でもっ……孝さんは、私やあなたを、傷つけて、苦しめて……いつの間にか、私は……私はっ……」
震え出すお母さんは、たぶん、あの男と過ごしたあの日々を思い出しているのだと分かった。
「お母さん、辛いなら思い出さないで……」
「違うの。言わせて、ほのか……」
つい言ってしまった言葉に、お母さんは首を横に振る。
そして、呼吸を落ち着けようとするお母さんを見てて思った。
お母さんも、ずっと戦ってきたんだ……。
いつも、あたしだけが苦しいと思ってた。
だけど、お母さんも病気と、あの過去とずっと戦ってたんだ。
「あなたを責める事で…自分を保とうとしたのよ…」
それは……分かってた。
あの男は、お母さんを虐待しているのに、お母さんはお父さんに帰ってきてもらう為に必死だった。


