「ねぇ、ほのか……」
「うん……」
梨子は、あたしから少し体を離して、真っ直ぐにあたしを見つめる。
「あたしを信じて、ついてきてほしい」
「梨子……」
その真っ直ぐな視線に、切実な瞳に、あたしはつい頷いていた。
「ほのか、大丈夫?」
あたしは、数日間、点滴しかしていなかったからか、体がふらついてしまう。
それを、梨子が支えてくれた。
「梨子、どこに行くの……?」
あたしは、梨子に支えながら、尋ねる。
すると、梨子はしばらく廊下を歩いて、足を止めた。
「ここだよ、ほのか」
「ここ……」
ここは、あたしの入院している階と同じ病室に入院している…お母さんの部屋だ。


