ーコンコンッ


そんな時、病室をノックされた。

あたしは、ゆっくりと瞼を持ち上げる。

いつの間にか、空は夕暮れに赤く染まっていた。

あたしは、ゆっくりと扉に視線を移す。


「はい……」


誰だろう…また、渚くんだったりして…。

って、そんなわけないか…。

あたしは、自嘲的な笑みを浮かべた。

渚くんを突き放したのは、あたしなのに………。


「ほのか、入ってもいい?」


え……この声は…。


「え………梨子…?」


予想外の人物に、あたしは動揺していた。

あたしが入院している事は、クラスメートには内緒にしてもらっていた。


これは、あたしが精神病院に入院してるって知られたくなかったから。


渚くんに、聞いたのかな……。