先生が部屋を出て行った後も、あたしは先生の言葉を、忘れる事が出来なかった。


「あたしは……誰かと生きるなんて…」

あたしの人生には、必ずあの男がつきまとう。

傍にいないのに、まるでいつも見られているかのような恐怖。

怖い……そして、苦しい。

お母さんやおばあちゃん、渚くん……。

大切な人を傷つけられた時の、あんな思いは嫌……。



「もういっそう、永遠に目覚めなければいいのに……」


薬漬けにでも、なんでもなればいい…。

もう、この手を引いてくれる人はいない。

優しく、笑いかけてくれる人も…好きだと伝えられる人も、もう現れない。


傍にいない渚くんに、胸を痛めずに済む。

ベッドに深く沈む体に身を委ねて、あたしは瞳をゆっくりと閉じる。