「もう、ここへは来ないでくださいと言ったはずです!」
家の近くまで来ると、なんだか騒がしかった。
あれ、おばあちゃん…どうして外に?
疑問に思いながら、家の前までやってくると、そこにいたのが男だと分かる。
「それは聞けないよ、ほのかに会いに来たんだ」
「っ!!」
聞き覚えのある声に、あたしは渚くんの手を強く引いて、立ち止まる。
「ほのかちゃん……?」
「っ……あ……うっ……」
唇がカタカタと震えだし、あたしは渚くんの手を強く握りしめる。
あの男、どうして家の前にいるの……?
あの声は、紛れもない、藤枝 孝だ!!
そんなあたしの様子に、渚くんは慌てたように引き寄せてくれる。


