「ほのか、消化にいいから、リゾット食べる?ほら、あたしのあげるから」
学校で、お昼ご飯を抜いているからか、カタンッと梨子があたしの前にリゾットを置いた。
梨子………。
みんな、どうして……優しくしてくれるの。
あたし、喋らないし、笑わないし…みんなだって、嫌な気持ちになるはずなのに…。
何度も何度も「どうして」と問う。
そして、どんな時でも答えは「わからない」だった。
永遠の自問自答に、あたしは少し疲れていた。
「…………」
見返りのない優しさが怖い。
大切なモノが増える度、自由になりたい、楽しい、嬉しい…そんな気持ちを、一緒に共有したいって思ってしまう。
そう思わないようにしなきゃって、そう思うのがたまらなく辛い。
それに、あたしには、あの男の影がつきまとう。
あたしは、どんなに時間が経っても、住む場所を変えても、あの時、一番辛かった地獄のような日々に今も捕らわれ続けてる。
逃げ出す事なんて、二度と出来ない。
壊れてしまったお母さんとの絆も、もう戻らないのだから…。


