それにしても、どうして渚くんは、あたしが飲みたい薬が分かったんだろう。

名前まで、覚えてた……。


不思議に思って、渚くんの顔を見つめていると、渚くんがすぐにそれに気づいた。


「俺に出来る事、探してるんだ。今回は、それが役に立ったみたいで良かった」


そう言って、ニカッと笑う渚くんに、あたしは目を奪われる。


渚くんは、本当に優しすぎる。

だからこそ、心を開いてしまいそうで怖い。


渚くんは、すぐにあたしの心の中をのぞく、あたし以上にあたしの変化に気づく。


怖い……渚くん、あたしはこれ以上…。

渚くんの優しさを知りたくないよ…。


なのに、この繋がれた手を、あたしは離せずにいる。

自由になる気は無いのに、渚くんに傍にいてと縛り付ける。

あたし、すごく矛盾してる……。