「ううん、なんでもな……むうっ!」
「ほのかちゃん」
心配かけまいと笑みを返そうとするあたしの両頬を、渚くんはムニュッと挟んだ。
「不安そうな顔して、なんでもないわけないでしょ。俺、ほのかちゃんの事はすごい見てるから、隠しても無駄だよ」
少し怒ったような顔をする渚くんに、あたしは目を見張る。
渚くんは、本当にすごい。
あたし、あんまり表情ある方ではないのに、渚くんはすぐにあたしの異変に気づく。
「何があったの?」
「うん、気のせいかもしれないんだけど…」
あたしは、誰かに見られているような気がした事を伝える。
今回だけじゃなくて、最近よくあるんだ。
それに、前は電柱の所に変な男の人も立ってたし、気のせいならいいんだけど…。


