「ありがとう、渚くん」


「お、良い笑顔!」


渚くんは笑ったあたしを見て、眩しそうに、それでいて嬉しそうに見つめてくる。


渚くんが紡ぐ言葉の1つ1つは、まるで魔法のようにあたしの不安を消し去る。


渚くんの優しさに、あたしは守られてるんだなぁって、何度も思った。


こんなに幸せで、少し怖くなる。


どうか、何事も起きませんように、渚くんとずっとこうして笑い合いたい。



「ほのかちゃん、そろそろ行こう」

「うん!」


そう言って歩き出そうとした瞬間、誰かに見られているような気がした。


ふと、足を止めて周りを見つめる。


あれ、気のせい……?

そういえば、前にもこんな事があったっけ。

なんだか、気持ち悪いな…。


「ほのかちゃん、どうかした?」


立ち止まったあたしを心配してか、渚くんはあたしを振り返る。