「渚」
ずっと黙っていた梨子は、渚くんの前に立ち、真っ直ぐに見つめる。
「梨子ちゃん…」
渚くんも、梨子を真っ直ぐに見つめ返した。
「ほのかの事、どうか守ってあげて。あたしの役目は、もう渚くんのモノだから」
「梨子……」
梨子は、少し寂しそうにあたしを見つめる。
あたしまで、胸が切なくなった。
「ほのかちゃんの事は、俺に任せて。絶対に、幸せにするって、決めてるから!」
親友の梨子に、ハッキリとそう伝えてくれる渚くんの横顔を、あたしは見つめた。
この先、こんなにあたしの事を想って真剣になってくれる人は、きっともう現れない。


